「白鳥男」と一緒に沖縄の従来種ウタイチャーンと触れ合おう!

授業レポート:
日時:2016年2月27日(土)
先生:大谷明正さん

 

 

 

 

 

 

2月の授業「白鳥男」と一緒に沖縄の従来種ウタイチャーンと触れ合おう!の授業レポートです。

今回の授業の先生は、「大谷明正」さんです。
知る人ぞ知る、琉球ゴールデンキングスの応援団長を白鳥姿でしている、あの「大谷」さんです。

この日は本職の「鶏」について熱く語っていただきました。

大谷さんは泉崎で焼き鳥屋さんをやっていると同時に、「福幸地鶏」という鶏を飼っていて、県内の焼き鳥屋さんに卸している養鶏場を営んでいます。

何で焼き鳥屋さんが養鶏を?

「鶏」を扱う大谷さんが、「鶏」を飼育するのは特に不思議ではないのかもしれません。
しかし、大谷さんには特別な思いがあって「鶏」を飼育しているのです。

「沖縄に地鶏を作りたい!!」

この熱い思いから鶏を飼育しているのです。

一つ疑問ですよね?
「福幸地鶏」って「地鶏」じゃないの???

そう、なんと「福幸地鶏」は「地鶏」ではなく、沖縄には「地鶏」がいないのです!?
JAS(日本農林規格)が認定している「地鶏」は全国で18種しかいないらしいです。

沖縄で地鶏として売られている「鶏」は正確には「銘柄鶏」と言われる種類で、正式な「地鶏」ではないそうです。ちなみに、「銘柄種」は185種もいるそうです。「福幸地鶏」もこの一つ。

「地鶏」として認められるには、様々な条件が必要で、その一つに『「在来種」の血液百分率が50%以上であること。』と定められています。

ということは、「在来種」がいなければ、「地鶏」は作れない。なかなかハードルの高い「地鶏」という壁。

しかし、この「在来種」が沖縄にも存在するのです!!

ご存知ですか?「ウタイチャーン」という品種を。

琉球王朝時代から続いている沖縄在来の鶏で、「声」を楽しむための鶏なんです。
琉歌にも何編か歌が残っていて、この「声」を品評する競技会も存在するほどです!

そう、食用として飼われている「鶏」ではないのです。

現在、沖縄県内で最も多く「ウタイチャーン」について飼育されている地域のうるま市付近でも100羽いるかどうか、今回の先生である大谷さんが所属する南部地域では数十羽程度しか飼育されていない貴重な鶏なのです。

座学で「ウタイチャーン」や「地鶏」について学んだ後、実物の「ウタイチャーン」に会ってきました。


チャーンには「黒色種、白色種、笹色種、五色種」などの種がいて見ていても楽しい限りです。

参加したみんなで触れ合います。

「ウタイチャーン」の特徴の一つでもあるヒゲ

そして、一番の特徴である「鳴き声」ですが、バッチリ聞くことが出来ました!!

ケッ、ケーーーーーーー、ケッ」

一般的に聞く鶏の「コケ、コッ、コーーーーッ」とは全然違います。

ポイントは、「ケーーーーーーー」の伸び具合と、最後の「ケッ」
競技会での勝敗もここで決まるみたいですよ。

声が特徴のウタイチャーンの飼育も、今では後継者に悩まされているのが現状のようです。
ペットとして鳥を飼っている方も多くいますが、ウタイチャーンは鳴き声が最大の特徴。よく鳴くそうです。
現代ではなかなか飼育しにくくなっているのも事実。
ウタイチャーンの愛好家で結成されている「ウタイチャーン保存会」の人々も後継者に悩まされているそうです。

元々は中国から琉球王国に渡ったと言われていた「ウタイチャーン」ですが、最近の研究では、琉球王国に元々いた品種で、その後中国に渡ったという説が強くなっている、正真正銘の在来種なのです。

この沖縄在来種である「ウタイチャーン」のことを知ってもらえれば、「ウタイチャーン」に興味を持ってもらえれば、「ウタイチャーン」がこれからも存続していける。
「ウタイチャーン保存会」の人たちの願いでもあるのです。

大谷さんは、『在来種』の「ウタイチャーン」を基にした「地鶏」の開発を行い、沖縄独自の「地鶏」が出来れば「ウタイチャーン」の認知度も高まり、大谷さんにとっても「ウタイチャーン保存会」の人たちにとってもwin-winな状況になるのではないかと、様々な研究を南部および中部農林高校と共同で進めているそうです。

在来種「ウタイチャーン」の血が50%以上含まれている「地鶏」を開発するために、今はどの鶏と「ウタイチャーン」を掛け合わせれば一番いい鶏が産まれるのか、まだまだ先は長いけど着実に一歩一歩を進めている。

いつか「ウタイチャーン」を基にした『沖縄の「地鶏」』が誕生することがとても楽しみな、焼き鳥大好きの原川がお伝えしました。

琉球ニライ大学
スタッフ 原川太郎